(第3回)決定的なアリバイ証拠の隠匿―松川事件
捜査官! その行為は違法です。(木谷 明)| 2018.11.15
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
(毎月中旬更新予定)
松川事件
――最大判昭和34年8月10日刑集13巻9号1419頁、判時194号1頁
1 どのような事件だったのか
第2次大戦後の重大冤罪事件の代表格として挙げられるものの一つが、今回取り上げる松川事件である。この事件では、最高裁段階で、犯人とされた被告人のアリバイを証明する決定的な証拠(諏訪メモ)が提出されて逆転無罪に結びつくという衝撃的な展開があった。