(第4回)佐賀

ぶらり民法散歩(伊藤栄寿)| 2018.12.20
民法の“聖地”を“巡礼”してみよう。
“聖地巡礼”という言葉が、映画・アニメやスポーツなどの舞台となった場所に赴くという意味で使用されるようになって久しい。
法学の世界にも、“聖地”が存在する(と思う)。かの著名な法学者の生まれた地、あの事件の起こった場所、法学に関係する歴史ある建造物…。上智大学の伊藤栄寿氏が、みなさんをそんな場所へご案内。今日は六法を置いて、この連載を旅のお供に、民法の“聖地”をぶらり散歩しよう。

(毎月下旬更新予定)

佐賀県佐賀市。北は福岡県福岡市・糸島市に接し、南は有明海に面している。九州最大の駅・博多駅から特急電車に乗れば、40分ほどで佐賀駅に到着する。

歴史的にみると、佐賀は肥前国に属していた。戦国時代、肥前国にはさまざまな領主が割拠していたが、国を制圧したのは龍造寺氏であった。しかし、江戸初期に龍造寺氏は断絶してしまったので、その家臣であった鍋島氏が肥前国を受け継ぐこととなり、幕末まで代々、鍋島氏が治めていた。

明治維新によって新政府を設立した中心人物たちは、「薩長土肥」の出身が多かった。それゆえ、新政府で活躍した佐賀藩(肥前国)出身者は多い。佐賀市内の各所には、幕末・明治を生きた佐賀出身の偉人、25人の銅像が建てられている。佐賀駅の南口を出て5分ほど歩いたところに、「駅前まちかど広場」という場所がある。ここには、佐賀ゆかりの偉人、10人の銅像が設置されている。西洋文化を導入した名君・鍋島直正、内閣総理大臣を務め早稲田大学を創設した大隈重信、外務卿を務めた副島種臣、初代文部卿の大木喬任など、豪華メンバーの銅像が並んでいる。この中に、日本の司法制度を確立した初代司法卿・江藤新平の銅像もある。

江藤新平の銅像

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