(第4回)拷問を告発した警察官を偽証罪で逮捕・勾留―二俣事件
捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2018.12.11
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
(毎月中旬更新予定)
二俣(ふたまた)事件
―最判昭和28年11月27日刑集7巻11号2303頁、判時14号3頁
静岡地判昭和31年9月20日判時91号3頁
この事件は、ある意味では、前回紹介した松川事件よりもはるかに恐ろしい事件である。なぜなら、松川事件で問題とされた諏訪メモの問題は「証拠(物証)の隠匿」の限度に止まる。しかし、二俣事件では、警察に不利益な証言(拷問の告発)をした警察官を、捜査当局が偽証罪で逮捕・勾留し、挙句の果ては、「妄想性痴ほう症」という病名をつけて社会から抹殺してしまったからである。