横田基地の騒音被害 過去分の賠償だけ命じる 自衛隊機、米軍機の飛行差し止めは認めず
ロー・フォーラム 裁判と争点(法学セミナー)| 2019.01.15
毎月、全国の裁判所で数多くの判決や決定が下される中から、私たちの社会に問題を提起する判決、法律学上の議論に影響を及ぼす判決など、注目の裁判を毎月ひとつずつ紹介します。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
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(毎月中旬更新予定)
◆この記事は「法学セミナー」769号(2019年2月号)に掲載されているものです。◆
横田基地(東京都福生市など)を巡り、周辺住民144人が騒音被害で国を訴えた訴訟で、東京地裁立川支部(見米正裁判長)は11月30日、過去分に限って騒音被害を認め、国に計約9500万円の賠償を命じた。一方、自衛隊機と米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めや将来分(結審翌日以降)の賠償請求などは退けた。住民側は不服として控訴した。
横田基地は旧陸軍の立川飛行場の付属施設として開設され、敗戦後に米軍に接収された米空軍基地。朝鮮戦争やベトナム戦争の際には戦闘機などの離着陸に使われた。総面積は東京ドームの約150倍にあたる約720万平方メートル。現在は、在日米軍司令部や第5空軍司令部、第374空輸航空団などが配置され、弾道ミサイル防衛(BMD)の拠点にもなっている。10月に米軍輸送機オスプレイが正式配備される中、判決の行方が注目されていた。