(第7回)警察が最重要の物的証拠を紛失―平野母子殺害事件

捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2019.03.19
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。

(毎月中旬更新予定)

平野母子殺害事件

  • 最三小判平成22年4月27日刑集64巻2号233頁
  • 差戻一審:大阪地判平成24年3月15日判時2360号122頁
  • 差戻控訴審:大阪高判平成29年3月2日判時2360号95頁

本件は、控訴審において検察官の求刑どおり死刑が言い渡された重大事件である。最高裁は、1・2審判決に事実誤認の疑いがあるとして、破棄差し戻した。そして、差し戻された第1審が、最高裁からよく調べるようにと指示された証拠物を取り調べようとしたところ、検察官は、その証拠物は、起訴後間もなく警察署内で紛失していたと、信じがたい釈明をした。

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