性別変更の手術要件「合憲」─「現時点では」と条件付きで最高裁が初判断

ロー・フォーラム 裁判と争点(法学セミナー)| 2019.03.13
毎月、全国の裁判所で数多くの判決や決定が下される中から、私たちの社会に問題を提起する判決、法律学上の議論に影響を及ぼす判決など、注目の裁判を毎月ひとつずつ紹介します。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。

(毎月中旬更新予定)

◆この記事は「法学セミナー」771号(2019年4月号)に掲載されているものです。◆

心と体の性が一致しない性同一性障害者の性別を変えられるようにした特例法で、生殖機能を失わせる手術を必要とする要件は、個人の尊重などをうたう憲法に違反するか。この点が争われた家事審判で、最高裁第二小法廷は「現時点では合憲」とする初判断を示した。手術せずに求めた性別変更の訴えを退けた一方、社会状況の変化に応じて判断は変わりうるとして、「不断の検討」を求めた。

1月23日付の決定で、裁判官4人の一致した意見。裁判官2人は補足意見で「憲法違反の疑いが生じていることは否定できない」と踏み込んだ。訴えそのものは認めなかったが、将来、要件が違憲になりうることを示唆したと言え、議論を呼びそうだ。

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