法学研究者という選択(荻野奈緒)(特集:法学部をでたあと、どうする?―法学入門2019 Part.1)
特集から(法学セミナー)| 2019.03.13
◆この記事は「法学セミナー」771号(2019年4月号)に掲載されているものです。◆
特集:法学部をでたあと、どうする?―法学入門2019 Part.1
法学部で学び始めるみなさん、少し気が早いですが、法学部を卒業したあとのことをイメージしてみませんか。職業選択は、これからの経験・出会いを通じて考えていくべきテーマですが、この春に、いろいろな未来を思いうかべてみることにより、これから法学部で、学んでみたいこと、経験したいことも、溢れてくるかもしれません。
――編集部
1 はじめに
法学部に入学する動機は、様々です。入学時に思い描いている進路も、人それぞれだと思います。しかし、「将来は、法学研究者になりたい」と思っている人は、かなり少数派なのではないでしょうか。
私も、今でこそ法学研究者という職に就いていますが、法学部生だった頃には、自分が将来、大学教員として働くことになるとは思いもしませんでした。しかも、私の大学教員としてのキャリアは10年くらいしかありません。そんな私が、学生のみなさんに向けて、法学研究者という職業に関する文章を書くのはおこがましい気がします。それにもかかわらず勇気を出してこの執筆を引き受けたのは、私の経験が少しでもみなさんの参考になればと思ったからです。
ただ、以下に述べることは、私の個人的な経験や理解であり、法学研究者の間で共有されたものでは必ずしもありません。むしろ、学部を卒業してすぐに大学院に進学し法学研究者を目指す人が多いなか、私の経歴は異色ですし、私の考え方は法学研究者の平均的なそれとは異なる可能性があります。したがって、みなさんには、そんな見方もあるのか、という程度に考えていただければと思います。