(第8回)架空の買収会合を設定して13人の住民を起訴―志布志事件(1)買収会合事件

捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2019.04.15
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。

(毎月中旬更新予定)

志布志事件(1)買収会合事件

  • 鹿児島地判平成19年2月23日(季刊刑事弁護52号138頁、判タ1313号285頁)(無罪判決)
  • 鹿児島地判平成27年5月15日判時2262号232頁(国賠訴訟判決)

本件は、これまで紹介した普通の冤罪事件と明らかに様相を異にする。他の事件では、事件そのものは確かに存在したが起訴された人物が犯人ではなかったというに止まる。ところが、本件では、警察・検察が捜査・起訴した13人は、警察がでっち上げた「ありもしない架空の会合」に参加して選挙違反を行ったとされたからである。刑事事件では、4年近くの審理の結果全員無罪判決が確定した。それだけでなく、その後(元)被告人らや不起訴となった(元)被疑者らが提起した国家賠償請求事件でも、次々と原告勝訴判決が言い渡され確定した。

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