興行チケットのネット上での高額転売防止のための法整備:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律
ロー・フォーラム 立法の話題(法学セミナー)| 2019.05.23
国会で成立する法律は数多くに及びますが、私たちの社会の制度変更に影響の大きい立法、私たちの生活に影響の及ぼすような立法など、注目の立法を毎月ひとつずつ紹介します。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
(毎月中旬更新予定)
◆この記事は「法学セミナー」773号(2019年6月号)に掲載されているものです。◆
法律制定の経緯
音楽コンサートやスポーツの試合などのチケットが、転売目的で大量購入され、興行主(主催者)の同意を得ずにインターネットなどで高値で転売される例が、近年大きな問題となっている。
転売目的でチケットを購入し、それを転売する「ダフ屋行為」を迷惑防止条例などで禁止する都道府県は多いが、最近増えているこうしたインターネット上での転売行為については、取締りが必ずしも十分には追いついていなかった。
また、2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会等が開催されるに当たり、国際オリンピック委員会(IOC)からは、チケットの不正転売対策を講ずるよう求められていた。
このような状況を踏まえ、インターネット上で行うものも含む「特定興行入場券の不正転売」(その要件は後述)を罰則付きで禁止するとともに、その防止等に関する措置等を定めることにより、興行入場券の適正な流通を確保するため、議員立法(衆議院文部科学委員長提案)により、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」が制定された。
法律は、昨年12月に公布されており(平成30年法律第103号)、本年6月14日から施行される。