シンデレラ:家庭裁判所(高島聡子)

こころの現場からセレクト(こころの科学)| 2019.05.24
心理臨床、医療、教育、福祉、司法など、対人援助にはさまざまな「現場」があります。「こころの現場から」は、そうした臨床現場の風景をエッセイという形で紹介するコーナーです。雑誌「こころの科学」にこれまで掲載されたもののなかから、こころの科学編集部がいま届けたい記事をセレクトして転載します。

(奇数月下旬更新予定)

◆この記事は「こころの科学」190号(2016年11月)に掲載されたものです。◆

家庭裁判所(以下、「家裁」という)には、毎日さまざまな表情の親子がやってくる。疲れた表情で幼い子の手を引く母は離婚の申立て、ピアスに仏頂面の若者と悲壮な顔の中年男女の組み合わせは少年事件か。誰も彼も何か難題を抱えているようでもあり、楽しそうには見えない。そんな中、家裁では珍しいほど仲むつまじそうな夫婦に幸せそうな子となれば、多くは特別養子縁組の申立人だ。

児童相談所や民間団体のあっせんで子どもを引き取り、実子として育てたいという申立てが「特別養子縁組」である。養親子双方の年齢制限や、試験養育期間の設定など、実親子同様の関係を築くことを目的とした条件が多々あり、その効果においても実親との関係が切れることや、親側からの離縁が認められないこと、戸籍の記載に工夫があることなどが「特別」の所以である。

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