フェイクニュースの憲法問題:表現の自由と民主主義を問い直す(成原慧)(特集:法学部をでたあと、どうする?―法学入門2019 Part.2)

特集から(法学セミナー)| 2019.08.06
毎月、月刊「法学セミナー」より、特集の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆この記事は「法学セミナー」772号(2019年5月号)に掲載されているものです。◆

特集:ようこそ、法律学の世界へ―法学入門2019 Part.2

この春、法律学を学び始めたみなさんにとって、すでに法律学はおもしろい学問でしょうか。
あっという間に夢中になった人もいれば、イメージとのギャップに苦戦中の人もいるかもしれません。
今年の法セミの法学入門の後編は、憲法、民法、刑法の3科目にフォーカスしました。
近年注目のトピックや法改正など、社会との関わりを意識しながら、この3科目を見ていくことで、法律学のおもしろさを探してみてください。

――編集部

1 はじめに

「フェイクニュース」が世界を揺るがしている。フェイクニュースは、簡単に言えば、主にインターネット上で流通する偽のニュースのことであるが、「虚構新聞」のような一見して明らかなパロディサイトとは異なり、真実であるかのように発信され伝達されることが一般的である。トランプ大統領が選出された2016年の米国大統領選挙において対抗馬のH. クリントンに関する虚偽の情報が多数拡散されるなどして、選挙結果にも一定の影響を与えたとの見方もあるなど、フェイクニュースは民主政治のプロセスに深刻な脅威をもたらしているといわれる。本稿は、フェイクニュースに関する問題を整理し、その対策のあり方を検討することを通じて、情報社会における憲法問題の一端を明らかにしたい。

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