(第11回)中小企業診断士の実務補習の実態

「弁護士×経営支援」のススメ(中村 真)| 2019.08.13
2018年、ついに衰えを見せ始めた司法制度改革の残り火の中、益々過酷さを増す業界での生き残りを賭けて中小企業支援に乗り出した弁護士中村真。この連載は、一地方弁護士が法律業務と経営支援の狭間で目にした数々のドラマを、「弁護士×経営支援」を合い言葉に、各種方面の目を気にしつつも、ただ面白おかしく書き連ねる実験的な企画です。

(毎月上旬更新予定)

1 実務補習とは何か

季節的な問題もあって、前回まで2回に渡り、弁護士が中小企業診断士試験に挑戦する際の留意点などについて好き勝手に書きました。まったく喉元過ぎればなんとやらです。

今回は第2次試験合格後に行われる実務補習について、ほかで語る機会がおそらくなさそうなので、ここでその実態を紹介したいと思います。

ご承知のように、現在の司法試験では試験合格後、1年間の司法修習を経て弁護士登録や検察官、裁判官の任官へと進みます。最近は、何か不幸なトラブルで司法修習修了を待たずに別の道へ進む人も見られますが、とにかく司法修習という実務を垣間見るプロセスが必要とされているわけです。

それと同じように、中小企業診断士でも、第2次試験の口述試験合格後すぐに登録とはならず、診断実務従事あるいは実務補習を合格から3年以内に15日以上こなしたあと、晴れて中小企業診断士登録(経済産業大臣登録)に進むことになります。コンサル業務に診断士の資格は必要ではないので、登録なんてしなくていいと言われればそれまでですが、時間と労力を掛けてわざわざ疲弊する国家試験を受けたからか、たいていの人は登録を希望するようです。私もそうするもんだと思っていたので、特に疑問なく実務補習を受けて登録する道を選びました。実務補習の料金は3クール15日受けてだいたい15万円ほどです(もらえるのではなく払う額です)。

診断実務に従事したことを証明してくれる事業者が身近にいる場合には診断実務従事でこの15日要件をクリアできるのですが、そういったコネクションがない場合、中小企業診断協会が国の委託を受けて実施する15日間の実務補習を受けて登録に進むことになります。

なお、診断士試験の第1次試験合格後、第2次試験を受けずに中小企業基盤整備機構などが実施する養成課程を受けて診断士登録する人もおり、この場合には「15日以上の実務従事ないし実務補習」という要件は適用されません。それ以上の研鑽をすでにしているからですかね。

ということで、今回はこのうち、「15日間の実務補習」について取り上げます。

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