(第2回)“ちゃんと”のノロイ

子育てのノロイを解きほぐす―発達障害の子どもに学ぶ(赤木和重)| 2019.10.04
「〇〇ができないとダメ!」「みんなと一緒でないといけません!」「子育て、かくあるべし!」……そんな子育ての“ノロイ”に、気づけばとらわれていませんか? 発達障害の子どもとかかわる心理学者の優しいまなざしが、私たちにかけられたノロイをやわらかくしていきます。

(毎月上旬更新予定)

小学校低学年の息子と、日夜、ポケモンカードに熱中しています。最初は、「ポケモンなんて、所詮、子どもだましでしょ」と思っておりました。いやいや、やってみると、とても戦略的な要素が強く、知的なゲームです。それに、運の要素も適度にあるために、実力や持ち札の強さに多少の差があっても楽しむことができます。息子とともに(もしくは息子以上に)はまっています。気がつけば1時間たっていることもしばしば。この夏休み、時間があれば2人でずっとバトルしていました。

ある日、息子に3回連続して叩きのめされました。ついカッとなって、「あぁ、もう、強すぎるねん! もうちょっと手加減してくれよおぉ」と言ってしまいました。キレながら懇願するという意味不明の叫びに、われながら苦笑いしている今日この頃の子育てです。

左と右、違う色の靴を履くことは……

さて、本題に入りましょう。

前回、私たちの子育てはたくさんのノロイにとりつかれています、という話をしました。今回は、数あるノロイのなかでも、「“ちゃんと”のノロイ」を取り上げます。そう、「ちゃんとお片づけしなさい」などと親が子育てでよく使う言葉の1つ、“ちゃんと”についてです。

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赤木和重(あかぎ・かずしげ)
神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授。専門は発達心理学、インクルーシブ教育。同時に、保育・学校現場に入り、子どもや教師の姿に感動し、それを理論化する仕事をしている。著書に『アメリカの教室に入ってみた:貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで』(ひとなる書房)、『目からウロコ!驚愕と共感の自閉症スペクトラム入門』(全国障害者問題研究会出版部)など。現在、わが子とのポケモンカードバトルに夢中。