地域における実践的な自殺対策を支援する指定法人の新設:自殺対策の総合的かつ効果的な実施に資するための調査研究及びその成果の活用等の推進に関する法律
ロー・フォーラム 立法の話題(法学セミナー)| 2019.11.14
国会で成立する法律は数多くに及びますが、私たちの社会の制度変更に影響の大きい立法、私たちの生活に影響の及ぼすような立法など、注目の立法を毎月ひとつずつ紹介します。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
(毎月中旬更新予定)
◆この記事は「法学セミナー」779号(2019年12月号)に掲載されているものです。◆
法律制定の経緯
我が国の自殺対策については、議員立法により、自殺対策基本法が平成18年に制定され(平成28年に改正)、これに基づく施策が実施されている。長らく年間3万人を超える状況が続いてきた自殺者数は、減少傾向にあるものの、なお年間2万人を超える深刻な状況にある。また、我が国では、若年層の自殺死亡率が主要先進7か国中で最も高く、10~30代の死因の第1位が自殺であるなど、若年層の自殺の深刻な状況も続いている。
自殺の原因は様々であり、地域によっても差があるため、自殺対策は、地域ごとの実態に即したものにしていく必要がある。今後、自殺対策の一層の充実を図っていくためには、保健、医療のみならず福祉、教育、労働など、広く関連施策と連動した総合的・効果的な自殺対策の実施に必要な調査研究・検証、その成果の活用や、地域レベルの実践的な自殺対策の取組への支援などを、総合的・適確に推進する仕組みの整備が重要とされている。