(第3回)全数調査と抽出調査—厚生労働省「毎月勤労統計問題」報道の問題点を例に
現実を「統計的に理解する」ための初歩の初歩(麻生一枝)| 2020.01.17

(毎月中旬更新予定)
マスコミ報道のピークはかれこれ1年前。旬をとうに過ぎていて恐縮だが、厚生労働省「毎月勤労統計問題」に関する新聞記事の抜粋を2つほど読んでいただくことから始めよう。
朝日新聞 2019年1月9日
同統計では従業員500人以上の事業所はすべて調べるルールだが、厚労省は東京都分について本来の対象の3分の1ほどの事業所だけ抽出して調べていた。関係者によると、こうした不適切な調査は04年から行われていた。
讀賣新聞 2019年1月18日
毎月勤労統計は、従業員500人以上の事業所は全て調査の対象だが、厚労省は2004年以降、東京都では約3分の1を抽出した不適切な手法で行っていた。
