(第4回)偽薬効果?—比較対照のない実験結果は信じてはいけない
現実を「統計的に理解する」ための初歩の初歩(麻生一枝)| 2020.02.14

(毎月中旬更新予定)
まずは、みなさん自身で考えていただくことから始めよう。
Aさんは食品メーカーの研究員で、食後に飲むと血糖値の上昇を抑えるような健康飲料の開発に携わっている。共同研究機関での動物実験の結果も良好で、研究は人での効果を調べる段階にまで進んだ。日本人の成人を代表するような実験参加者を50名募り、2ヵ月間毎食後、開発中の健康飲料を飲んでもらった。実験開始時と終了時に血液中のHbA1c1)を測定し値を比べたところ、50人中48人でHbA1cの減少が認められた(図1)。
脚注
1. | ↑ | 血液中のHbA1cの値は、1-2ヵ月単位の平均的な血糖の状態を示すとされる。 |
