企画趣旨(片桐直人)(特集:カジノがやって来る――IR誘致をめぐる法的課題)

特集から(法学セミナー)| 2020.02.17
毎月、月刊「法学セミナー」より、特集の一部をご紹介します。

(毎月中旬更新予定)

◆この記事は「法学セミナー」782号(2020年3月号)に掲載されているものです。◆

特集:カジノがやって来る――IR誘致をめぐる法的課題

地域振興・雇用創出など、大きな経済効果を生み出すことが期待される日本へのIR誘致だが、それにともなう問題点も数多く指摘されている。

そこで、本特集では、法律学にとどまらない総合的な視点からIR誘致を分析し、読者とともにその是非を考える。

――編集部

1 はじめに

この特集は、特定複合観光施設区域整備法(平成30年法律第80号。以下、「IR整備法」という)を巡る諸問題を様々な角度から多面的に検討しようとするものである。周知のように、IR整備法では、観光や地域経済の振興・財政の改善のために、「適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進」することとされている(IR整備法1 条参照)。このような点にも鑑みて、この特集では、IR整備法の中でもカジノ事業に焦点を当てることにしている。

ラインナップをご覧いただければわかるように、憲法・民法・刑法・行政法といった実定法解釈学の観点のほか、法史学を踏まえた歴史的考察、医学的観点からの分析、さらには実務を踏まえた隣接分野とのかかわりまで、実に多彩な論考をお寄せいただくことができた。

2 公益実現のためのカジノ?

さて、ギャンブルの「悪い」イメージもさることながら、贈収賄疑惑もささやかれる中、このような企画に貴重な誌面を割く意義は、少し説明が必要かもしれない。

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