(第2回)欧州における COVID-19 対策の評価 — EU はコロナを好機と捉えて産業転換を狙う(吉田健一郎)

コロナ危機とEUの行方| 2020.07.24
2020年に入って突如世界を席巻し始めた新型コロナウイルス感染症は,2020年3月11日にはWHOによってパンデミック宣言され,依然として予断を許さない状況が続いています.このコラムでは,さまざまな立場のEU研究者が,「コロナ危機下のヨーロッパ」がどう動くのか,どこへ向かうのかについて読み解いていきます.(全12回の予定)

ユーロ圏経済は大幅なマイナス成長に

新型コロナウィルスの感染拡大により、ユーロ圏経済は深刻な景気後退に陥った。3 月初旬から約 2 カ月に渡り各国が導入した封鎖措置の結果、2020 年 1〜3 月期の実質 GDP 成長率は、前期比 ▲3.6%のマイナス成長となり、4〜6 月期は更なる GDP の減少が確実視される。国際通貨基金 (IMF) は、6 月に発表した世界経済見通しの中で、2020 年のユーロ圏 GDP 成長率を ▲10.2%と予測した。

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吉田健一郎(よしだ・けんいちろう)
みずほ総合研究所欧米調査部上席主任エコノミスト。
1972 年東京都生まれ。96 年一橋大学商学部卒、富士銀行 (現みずほ銀行) に入行。対顧客為替ディーラーなどを経て 2004 年にみずほ総合研究所へ出向。08 年 9 月からロンドン事務所長。14 年 10 月から現職。ロンドン大学修士 (経済学)。著書に『Brexit ショック企業の選択 --- 世紀の誤算のインパクト』(日本経済新聞出版社、2016 年)、『EU は危機を超えられるか --- 統合と分裂の相克』(NTT 出版、2016 年、共著) など。