(第10回)菊池信之介さん:新型コロナウイルスが労働者に与える影響とは

経済セミナーインタビュー「この人を訪ねて(ロングバージョン)」| 2020.10.26

毎号話題の人をお訪ねして、研究や仕事についてインタビューする「経済セミナー」巻頭記事を大幅にボリュームアップして掲載。他ではお目にかかれない、第一線で活躍する経済学者のホンネをお届けします。


(偶数月下旬更新予定)

雑誌収録版:『経済セミナー』2020年10・11月号(通巻716号) この人を訪ねてVol.22「新型コロナウイルスが労働者に与える影響とは」

インタビュー日:2020 年 7 月 24 日(メールインタビュー)

プロフィール

菊池信之介(きくち・しんのすけ)

マサチューセッツ工科大学 (MIT) 経済学部博士課程在籍。1993 年生まれ。京都洛南高校卒業。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。マッキンゼーアンドカンパニーを経て、2019 年夏より現所属。専門はマクロ経済学・労働経済学。

 

 

 

2 種類の研究

— 新型コロナウイルス関連でご執筆された論文についてご紹介いただけますか。

菊池  新型コロナウイルスが労働者に与える影響についての研究を 2 種類行いました。

一つは、東京大学の北尾早霧さんと御子柴みなもさんと共に取り組んだ、コロナ危機が労働市場に与える影響の異質性に関する分析です。この研究のモチベーションは、コロナショックに最も脆弱な層を、執筆時点で利用可能なデータの範囲で特定することでした。背景としては、労働力調査や家計調査といった政府統計の公表にはどうしてもタイムラグがあり、政府の政策対応や民間の意思決定のスピード感に遅れをとっていたことがあります。そこで過去の不況の事例、コロナショック前の労働市場の様子、コロナショック下での民間のビッグデータと政府の集計データを組み合わせて、Descriptive (実証的) な論文を書くに至ったのです。

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