女性議員比率引き上げを目指す クオータ導入の意外な効果

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2020.09.30
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Besley, T., Folke, O., Persson, T. and Rickne, J. (2017) “Gender Quotas and the Crisis of the Mediocre Man: Theory and Evidence from Sweden,” American Economic Review, 107(8): 2204-2242.

奥山陽子

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はじめに

今年 2020 年は、日本で女性が参政権を獲得してから 75 年、米国では 100 年、そして本論文で扱われるスウェーデンでは 101 年にあたる。しかしそれだけの時間がたっても、女性は政治の世界においていまだにマイノリティである。女性議員は女性有権者の声を代表するという研究もあり1)、多様な視点を政策に反映させるために、多くの国で議員の男女比率の均等化が課題となっている。

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脚注   [ + ]

1. たとえば Duflo and Chattopadhyay (2004) はインドの村長選の文脈で、Brollo and Troiano (2016) はブラジルの市長選の文脈で、Lippmann (2019) はフランス上下院選挙の文脈で、女性が選ばれた場合は男性が選ばれた場合に比べて、女性が当事者になりやすい課題が取り組まれやすいことを示しており、男女有権者それぞれのニーズをくまなく政策に反映させるためには、首長や議員の男女比均等化が欠かせないことを示唆している。