(第12回)EU が主導する「社会的資本主義」の時代(岡部直明)

コロナ危機とEUの行方| 2020.11.27
2020年に入って突如世界を席巻し始めた新型コロナウイルス感染症は,2020年3月11日にはWHOによってパンデミック宣言され,依然として予断を許さない状況が続いています.このコラムでは,さまざまな立場のEU研究者が,「コロナ危機下のヨーロッパ」がどう動くのか,どこへ向かうのかについて読み解いていきます.(全12回の予定)

コロナ危機は大恐慌に匹敵する世界経済危機だが、資本主義そのものの危機でもある。コロナ危機さなかの米中の覇権争いは、米中双方の国際的信認を失墜させた。強権を背景にした中国の「国家資本主義」は、中国依存のアジアや欧州にも警戒を広げた。その一方で、米国の「規範なき資本主義」は巨大 IT (情報技術) の独占を許し、深刻な格差を生んだ。そのなかで浸透するのが「社会的資本主義」である。そして社会に根差し地球を守るこの資本主義を主導するのは欧州連合 (EU) である。

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岡部直明(おかべ・なおあき)
ジャーナリスト。武蔵野大学国際総合研究所顧問・フェロー。
1947 年高知県生まれ、1969 年早稲田大学政経学部経済学科卒、日本経済新聞社入社、産業部、経済部記者を経てブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長。取締役論説主幹、専務執行役員主幹、コラムニストを歴任。早稲田大学大学院客員教授、明治大学国際総合研究所顧問・フェローを経て現職。
主な著書:『分断の時代---混迷する世界の読み解き方』(日経 BP 社)、『ドルへの挑戦---Gゼロ時代の通貨興亡』(日本経済新聞出版社)、『主役なき世界---グローバル連鎖危機とさまよう日本』(同)、『ベーシック日本経済入門』(同)、『応酬---円ドルの政治力学』(同)、編著に『EUは危機を超えられるか---統合と分裂の相克』(NTT 出版)。