COVID-19対策における国・自治体関係(金井利之)

法律時評(法律時報)| 2021.02.02
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。

(毎月下旬更新予定)

◆この記事は「法律時報」93巻2号(2021年2月号)に掲載されているものです。◆

1 はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生してから、国・自治体は対策に奔走してきた1)。しかし、国・自治体の意見の不一致や齟齬が目立つ状況である2)。本論では、そのメカニズムを検討していきたい。

第1には、政治構造に求め得る3)。官邸主導・一強構造のもとで、為政者が司令塔機能を失うと、忖度・追従に馴致されてきた各主体の野放図で無軌道な行動と衝突が起きる。放縦の典型は自治体首長である。

しかし、本論考では、第2の感染症対策の政策構造に注目する。それは、法制化され、保健所・医療機関・介護施設などのサービス提供構造に埋め込まれる。このうち、後者は別に論じたので4)、本論考は法制に焦点を当てて検討しよう。 

2  新型インフルエンザ等対策特別措置法による為政

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脚注   [ + ]

1. 拙論「COVID-19と自治のミライ」ガバナンス2020年5月号
2. 竹中治堅『コロナ危機の政治─安倍政権vs.知事』(中公新書、2020年)。
3. 牧原出『権力移行』(NHK出版、2013年)。拙論「『ウィズ・アベ』および『アフター・アベ』の行政研究」季刊行政管理研究171号(2020年)、拙論「COVID-19禍(苛)の自治体」季刊現代の理論2020年秋号
4. 拙論「第三波の玉突きのミライ」ガバナンス2021年1月号