地方議会の自律性とその限界:最高裁大法廷令和2年11月25日判決(西上治)
判例時評(法律時報)| 2021.02.03
一つの判決が、時に大きな社会的関心を呼び、議論の転機をもたらすことがあります。この「判例時評」はそうした注目すべき重要判決を取り上げ、専門家が解説をする「法律時評」の姉妹企画です。
月刊「法律時報」より掲載。
月刊「法律時報」より掲載。
(不定期更新)
◆この記事は「法律時報」93巻2号(2021年2月号)に掲載されているものです。◆
最高裁大法廷令和2年11月25日判決
1 60年ぶりの判例変更
去る11月25日、最高裁大法廷は歴史的な判決(以下「本判決」という)を言い渡した。地方議会の議員に対する出席停止の懲罰を司法審査の対象外とした最大判昭和35年10月19日民集14巻12号2633頁(以下「昭和35年判決」という)を変更したのである。昭和35年判決は、「自律的な法規範をもつ社会ないしは団体に在つては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないものがある」とし、「本件における出席停止の如き懲罰はまさにそれに該当する」としていた。