もう一度カウンセリング入門(1)「あたりまえ」の再考(国重浩一)

連載から(こころの科学)| 2021.03.17
こころの科学」に掲載された連載(第1回)をご紹介します。

(奇数月中旬更新予定)

◆本記事は、「こころの科学」209号(2020年1月号)から開始した連載「もう一度カウンセリング入門」の第1回です。

はじめに

私は、ニュージーランドのワイカト大学カウンセリング大学院でナラティヴ・セラピーを専門に学び、その手法を基盤としてこれまで臨床経験を積んできた。入学したのが1999年のことなので、ナラティヴ・セラピーに取り組み始めてかれこれ20年になる。

ナラティヴ・セラピーは、オーストラリア人のマイケル・ホワイトとニュージーランド人のデイヴィッド・エプストンの貢献によって形作られた、家族療法の潮流に位置づけられる心理療法のアプローチである。本連載でナラティヴ・セラピーに触れることも多々あるはずであるが、この技法そのものを主題にしたいのではない。そうではなく、ナラティヴ・セラピーが基盤とするパラダイム(ものの見方や考え方の根底にあるもの)から、対人支援にまつわるさまざまな、すでに常識となっていることを再考するという試みをしてみたい。

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