出題(2021年7月号掲載分)/応募締切(7月8日)/解答(2021年10月号掲載)
出題1
p を奇素数,n を自然数とし,\bs{F}_p=\{0,1,\cdots,p-1\} と置きます.下記のような命題を考えます.
(C) 任意の整数 a に対して合同方程式
\begin{align*} (x+1)^n-x^n\equiv a\quad(\t{mod}\,p) \end{align*}は \bs{F}_p に解をもつ.
(1) 命題(C)が成立するとき,u\not\equiv 0\ (\t{mod}\,p) なる任意の整数 u に対して
\begin{align*}
\Bigl\{(x+u)^n-x^n\,\Bigm|\,x\in\bs{F}_p
\Bigr\}\equiv\bs{F}_p\quad(\t{mod}\,p)
\end{align*}が成立することを示してください.
ここで整数からなる集合 A,\,B に対して A\equiv B\ (\t{mod}\,p) とは,A の任意の要素は p を法として B のある要素に合同であり,A と B を取り替えてもこの命題が成り立つときをいいます.
(2) 命題(C)が成立するようなすべての自然数 n を求めてください.求めた自然数以外の n に対しては(C)は成り立たないことも示してください.
もちろん問題の一部の解答でも歓迎です.
出題:中川暢夫
出題2
分数を習い始めた小学生が分数の足し算をするときに,\dfrac 12+\dfrac 34=\dfrac{1+3}{2+4} と間違えることがあります.そこで,2 つの有理数 s,\,t に対して,それらが既約分数で s=\dfrac ab,\,t=\dfrac cd と表されるとき,
\begin{align*}
s\sharp t=\dfrac ab\sharp\dfrac cd=\dfrac{a+c}{b+d}
\end{align*}と定めます.ただし,有理数を既約分数で表すときは,分母は常に正とし,整数 n は \dfrac n1 で表すとします.
有理数を端点とする区間 I=[s,t] に対して,s<s\sharp t<t であるので,u=s\sharp t を I の \sharp 中点と呼び,区間 I を2 つの区間 [s,u], [u,t] に分割することを \sharp 分割と呼びます.さらに,L,\,R の文字列 w に対して,I_w の \sharp 分割が I_{wL}, I_{wR} であると帰納的に定めます.また,I_w の \sharp 中点である有理数は「I におけるアドレス w をもつ」と言うことにします.(I の \sharp 中点は空文字列のアドレスをもちます.)
例えば I=\left[\dfrac{-1}5,\dfrac 74\right] とすると,\dfrac{-1}5\sharp\dfrac 74=\dfrac 69=\dfrac 23 なので 1 回目の分割は I_L=\left[\dfrac{-1}5,\dfrac 23\right], I_R=\left[\dfrac 23,\dfrac 74\right] であり,2 回目の分割は I_{LL}=\left[\dfrac{-1}5,\dfrac 18\right], I_{LR}=\left[\dfrac 18,\dfrac 23\right], I_{RL}=\left[\dfrac 23,\dfrac 97\right], I_{RR}=\left[\dfrac 97,\dfrac 74\right] となり,\dfrac 23\sharp\dfrac 97=\dfrac{11}{10} は \left[\dfrac{-1}5,\dfrac 74\right] におけるアドレス RL をもちます.
(1)区間 I 内の両端を除くすべての有理数は,区間 I におけるアドレスをもつでしょうか.
(2)区間 I におけるアドレスをもつ有理数を,区間 J におけるそれと同じアドレスをもつ有理数に対応させる写像を f_{IJ} と書きます.f_{IJ} は I 上の連続関数 \overline{f_{IJ}} に拡張できるでしょうか.また,それは可微分でしょうか.
解答は(1)だけでも結構です.
出題:山田修司
応募規定[解答掲載2021年10月号]
郵送の場合
B5判の用紙をご使用のうえ,解答用紙 l 枚ごとにA:出題の番号(例:7月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記宛先までお送りください.
〒170-8474 東京都豊島区南大塚3-12-4
日本評論社 数学セミナー〈エレガントな解答をもとむ〉係
メール送信の場合
B5判のサイズで,解答用紙l枚ごとにA:出題の番号(例:7月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記フォームから PDF ファイルを送信して下さい (ファイルサイズ10MBまで).
解答記載に LaTeX ご利用の方は,テンプレートもご活用下さい.テンプレート利用は任意です.またテンプレートの漢字コードはUTF8です.ファイルが文字化けするときは適宜変換してお使いください.
投稿フォームが上手く動かないなどの場合は,susemi_elegant@nippyo.co.jp に直接お送り下さい.
注意事項
- 締切:2021年7月8日
- 二題に応募されるときは,郵送の場合は解答用紙を,メール送信の場合はファイルを,出題ごとにかえてください.
- 年齢を忘れずにお書きください.
- 解答用紙は両面の使用を不可とします.
- 解答用紙はご返却できません.
- 問題のご感想も歓迎します.
- 出題掲載号:数学セミナー2021年7月号
- 解答・講評は,本誌2021年10月号にてご確認ください.