(第38回)強奪した手提げ金庫の投棄場所を指示させた引当捜査報告書において、帰路に撮影した写真をあたかも往路に撮影したものとして添付した─日野町事件
捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2021.09.06
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
(毎月中旬更新予定)
本連載では、最終的に無罪が確定した事件だけを扱ってきた(唯一の例外が、前回紹介した白鳥事件である)。それは、冤罪と違法捜査の関係を明らかにするためには、冤罪であることが裁判上確定していることが望ましいと考えたからである。
ところで、本件については、現在再審開始決定に対する検察官の即時抗告事件が大阪高裁に係属中であり、裁判所の無罪判断が確定している訳ではない。しかし、確定1・2審判決(①②)と再審開始決定(⑥)を併せ読む限り、本件は冤罪の疑いが極めて強いと思われる。また、違法捜査が行われたこと自体も明らかである。そこで、本シリーズの最後をこの事件で締めくくることとした。
木谷 明(きたに・あきら 弁護士)
1937年生まれ。1963年に判事補任官。最高裁判所調査官、浦和地裁部総括判事などを経て、2000年5月に東京高裁部総括判事を最後に退官。2012年より弁護士。
著書に、『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』(新版、法律文化社、2004年)、『事実認定の適正化―続・刑事裁判の心』(法律文化社、2005年)、『刑事裁判のいのち』(法律文化社、2013年)、『「無罪」を見抜く―裁判官・木谷明の生き方』(岩波書店、2013年)など。
週刊モーニングで連載中の「イチケイのカラス」(画/浅見理都 取材協力・法律監修 櫻井光政(桜丘法律事務所)、片田真志(古川・片田総合法律事務所))の裁判長は木谷氏をモデルとしている。
1937年生まれ。1963年に判事補任官。最高裁判所調査官、浦和地裁部総括判事などを経て、2000年5月に東京高裁部総括判事を最後に退官。2012年より弁護士。
著書に、『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』(新版、法律文化社、2004年)、『事実認定の適正化―続・刑事裁判の心』(法律文化社、2005年)、『刑事裁判のいのち』(法律文化社、2013年)、『「無罪」を見抜く―裁判官・木谷明の生き方』(岩波書店、2013年)など。
週刊モーニングで連載中の「イチケイのカラス」(画/浅見理都 取材協力・法律監修 櫻井光政(桜丘法律事務所)、片田真志(古川・片田総合法律事務所))の裁判長は木谷氏をモデルとしている。