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 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です．

(奇数月下旬更新予定)

Hangartner, D., Kopp, D. and Siegenthaler, M.（2021）”Monitoring Hiring Discrimination through Online Recruitment Platforms,” Nature, 589: 572-576.

松井暉

はじめに

人は何を基準にして他者を判断しているのだろうか。採用における差別を検証するために、求職者の特定の属性が採用選考の結果にどのような影響を与えているかを調べることは重要なトピックである。

このトピックでは、氏名など特定の項目のみを変更した架空の履歴書を企業に送付し、それらに対する返答率などを調べるといった調査がよく用いられており、定訳はないが「correspondence studies」と呼ばれている¹⁾ 。この方法は低コストかつ簡便ではあるが、変更できる項目が限られる点や、架空の履歴書を実際の企業に送る行為の倫理的な問題が議論されている。一方、本稿で紹介する論文では、オンライン求職プラットフォームにおける採用担当者の詳細な行動履歴等を利用することにより、求職者の属性が採用行動にどのような影響を与えるかを調べている。

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