(第5回)脈動オーロラとマイクロバースト
地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2022.09.12

(毎月中旬更新予定)
オーロラの一種で,数秒〜数十秒の周期で明滅する斑点状のオーロラは “脈動オーロラ” と呼ばれて,その発生機構については半世紀以上にわたり多くのシナリオが考えられてきた.このほど,2016 年 12 月 20 日 20 時 00 分に,イプシロン・ロケット 2 号機で打ち上げられたジオスペース探査衛星 “あらせ” による観測データの解析からその発生機構が解明され,脈動オーロラとほぼ同時に起こるマイクロバーストについても多くの知見が得られた.ここでは,その概要について述べてみよう.
衛星 “あらせ”
ジオスペース探査衛星 ERG (Exploration of Energization and Radiation in Geospace) 通称 “あらせ” は,重量 約 355kg,軌道傾斜角 31∘,周期 565 分,近地点高度 460km,遠地点高度 32,110km の楕円軌道に打ち上げられた科学衛星で,地球磁気圏の環境を探索することを目的としている (図1).

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.