(第3回)データは「背景」をともなう数値:背景・比較対照のないデータは評価のしようがない
コロナと数字と科学:ニュースに右往左往しないためのリテラシ(麻生一枝)| 2022.06.16

(毎月中旬更新予定)
あなたが聞いたこともない国の、見たこともない通貨 (単位カズ) を想像してほしい。その国から突然仕事の依頼を受け、月収は 500 万カズだと告げられたとしよう。さて、あなたはこの依頼を受けるだろうか。
おそらくどう判断していいかわからず、途方に暮れることだろう。なぜなら月収は 500 万カズと言われても、それがどれほどの価値のあるものなのか、まるで見当がつかないからだ。2LDK のアパートを借りたら家賃はどれくらいなのか。何カズ必要なのか。食費、光熱費、通信費は月にどのくらいかかるのか。月ごとの教育費は子ども一人当たりどれくらい必要なのか。こういった背景となる情報、つまり比較対照の基準となるものがないと、一見多そうに見える「500 万」という数値も、それが多いのか少ないのか、判断のしようがないのである。
