(第8回)食べることにとらわれてしまう摂食障害や、手洗いなどがやめられなくなってしまう強迫症に、薬物療法は有効でしょうか?

子どもの心のお薬Q&A(岡田俊)| 2022.05.04
子どもが病院や診療所で心の薬による治療を薦められることは決して稀ではありません。子どもだって心が病むときも、その回復に支えが必要なこともあるのです。安易な薬物療法は望ましくありませんが、一律に避けてしまうというのも子どものためになりません。子どもの精神科薬物療法について、できるだけわかりやすくQ&Aでお伝えします。

(毎月上旬更新予定)

Q 「うちの子は、ダイエットに励んでいると思ったら、どんどんやせてしてしまい、食事もろくに食べてくれなくなりました。摂食障害の治療に、薬物療法は有効なのでしょうか?」

摂食障害は、太ることへの恐怖心から食事をとることができず、やせが進んでしまう病気です。極端にやせていることが明らかであるにもかかわらず、本人はまだ太っていると感じるといったボディイメージのゆがみがみられます。体重へのこだわりと、太ることへの恐怖に毎日が費やされてしまい、食べないだけでなく、故意に吐いたり、過度に運動をしたりすることもあります。

また、太ることへの恐怖を同じように抱きながらも、過食をしてそのあとに落ち込んでしまう、という神経性過食症、食べることを避けたり、食事量を極端に減らしたりといった特徴はみられながらも、身体像の歪みやとらわれはみられない回避・制限性食物摂取症と呼ばれる状態もあります。

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岡田 俊(おかだ・たかし)
精神科・児童精神科医師。1997年京都大学医学部卒業。同附属病院精神科神経科、デイケア診療部などの勤務を経て、2011年より名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科、2020年より国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所に勤務。