(第4回)オーロラの色とその動態
地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2022.08.12

(毎月中旬更新予定)
極北の夜空にうごめく奇怪な光,オーロラの光の色がなぜ緑や赤,そして時にはピンクといった色だけなのか? また,オーロラが発生すると,はじめは穏やかであったものが,次第にカーテンが風にたなびくように揺らめきだし,突然明るさを増しながら激しく変化する様子が観られたのち,次第に終息してオーロラは最初の穏やかな状況に戻っていく.今回は,オーロラの色とその動態について述べてみよう.
オーロラの光の発生機構と色合いの違い
原子の構造は,高校の物理で学んだボーアの水素原子の理論により,中心に原子核があり,その周囲を電子がある規則性をもって運動しているというモデルで考えることができる(図1).水素原子の場合,電子は 1 個であるから,図1で原子核に最も近い n=1 の軌道に電子が位置するとき,原子としてのエネルギーは最も低い安定な状態で,基底状態と呼ばれる.これに対して,電子が n=2 以上の軌道に位置するときは励起状態と呼ばれ,原子としては不安定な状態にある.

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.