「戸籍法改正の中間試案」と命名権(河上正二)
法律時評(法律時報)| 2022.08.02
世間を賑わす出来事、社会問題を毎月1本切り出して、法の視点から論じる時事評論。 それがこの「法律時評」です。
ぜひ法の世界のダイナミズムを感じてください。
月刊「法律時報」より、毎月掲載。
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(毎月下旬更新予定)
◆この記事は「法律時報」94巻9号(2022年8月号)に掲載されているものです。◆
1 戸籍法改正中間試案
法制審議会の戸籍法部会は本年5月17日、戸籍法改正の中間試案【PDF】をまとめた。現在、戸籍の氏名欄には原則として漢字しか記載されておらず、これに新たに「読み仮名」を記することを柱とする。その際、漢字と読み仮名の関連性をどこまで求めるかについては3つの案が示されている。中間試案は、独特な読み仮名を認める例として
①規定を設けず公序良俗や権利に反しない限り認める
②漢字の慣用的な読み方か字義との関連性があれば認める
③字義との関連に加え、パスポートに記載済みなど既に社会的に通用していれば認める
の3つをあげる。法務省は最も厳しい場合でも英語などで関連性があれば認められるとしており、例えば「大空」を「すかい」、「光宙」を「ぴかちゅう」と読むような場合は認められる可能性が高いらしい。こうなると、いわゆる「キラキラネーム」と呼ばれる個性的名前や読み方が認められるであろうが、「太郎」の読み方を「じろう」とするなど非常識な読み方は許容されまい。近くパブリックコメントを求め、2023年2月ごろまでに最終答申を出すという(答申を受けて法務省は、23年の通常国会に法案を提出する見通しである)。