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(第7回)恒星としての太陽

地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2022.11.11
お馴染だと思っているはずの地球や宇宙も,自然科学の目で見ると実に多様な顔を見せてくれます.この連載では,地球を中心とした様々な対象や現象について,最近の知見をもとに改めて解説します.

(毎月中旬更新予定)

太陽は,主系列星のスペクトルでは G 型に属する恒星の一つで,人類にとって最も近い恒星である.その意味では,何光年もの彼方にある恒星を調べるにあたり,太陽は最適な研究対象であるといえよう.そこから得られる情報はすべて光 (電磁波) のみであることから,さまざまな波長の光がどのようなエネルギー強度で含まれているかを知ることが第一歩となる.ここでは,太陽の光から得られる知見の一部を見ておくことにしよう.

プランクの放射法則と太陽の表面温度

物質からの電磁波の放射は,その物質を構成する原子・分子の電子やイオンが激しく運動または振動することにより発生する.それには規則性があり,1900 年に,ドイツの物理学者マックス・プランクが,熔鉱炉内で熔けた鉄から放射される光 (電磁波) の放射エネルギーと波長との間に図1のような特性があることから,放射エネルギー密度 u(λ,T)
u(λ,T)=8πhcλ51exp(hcλkT)1[J/m4]で与えられることを見出した.これをプランクの放射法則という.ここに,T は物質表面の絶対温度,λ はそのときの光(電磁波) の波長,c は光速,k はボルツマン定数,h はプランクの定数である.

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半揚稔雄(はんようとしお) 1947 年,福岡県に生まれる.その後,北海道札幌市にて子供時代を過ごす.小学校 4 年の 10 月に,ソヴィエト連邦 (現在のロシア) が「世界初の人工衛星スプートニク 1 号を打ち上げた」とのニュースに接して,宇宙に興味を覚える.以来,宇宙飛行に関心を寄せ,物理学で理学士となるも,これが高じて防衛大学校,東京大学宇宙航空研究所(現・JAXA宇宙科学研究所)などで一貫して宇宙飛翔力学の研究に携わる.この間に,東京大学から工学博士の学位を授かる.現在,成蹊大学非常勤講師.

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.