出題(2022年12月号掲載分)/応募締切(12月8日)/解答(2023年3月号掲載)
出題1
正 3 角形の中に直角 2 等辺 3 角形を収めるとき,下図左のようにすると面積が占める割合は最大になり,その値は 1√3 です.反対に,直角 2 等辺 3 角形の中に正 3 角形を収めるとき,下図右のようにすると最大になり,その値も同じく 1√3 です.
これは偶然の一致でしょうか.そこで,次の問題を取り上げてみます.
互いに相似でない任意の 3 角形 ABC と 3 角形 DEF を考えます.そして,3 角形 ABC の相似形のうち,3 角形 DEF に収まる最大の 3 角形を A′B′C′ とし,3 角形 DEF の相似形のうち,3 角形 ABC に収まる最大の 3 角形を D′E′F′ とするとします.このとき,次の等式はつねに成り立つでしょうか.
3 角形 A′B′C′の面積3 角形 DEF の面積=3 角形 D′E′F′ の面積3 角形 ABC の面積
もしつねに成り立つとしたら,そのことを証明してください.成り立たないとしたら,反例を見つけ,それが反例であることを証明してください.
等式が成立する必要条件や十分条件がわかったなど,本問の一部のみが解けた場合の答案提出も歓迎です.
出題:岩沢宏和
出題2
集合 Ω={ε,0,1,00,⋯} を,0 と 1 からなる有限文字列の全体とします.ε は長さ 0 の文字列です.
有限文字列 w と w′ を連結した文字列を ww′ と書きます.また部分集合 A,B⫅ について,連結 A\cdot B を A\cdot B=\{ww’\mid w\in A,\, w’\in B\} とします.
正規表現は,以下のように再帰的に定義されます.
- \Z と \I は正規表現である.
- r と s が正規表現のとき,和 r+s,積 r\cdot s,スター r^{\ast} と補 r^{\co} も正規表現である.
正規表現 r には,(r にマッチする言語と呼ばれる) \varOmega の部分集合 L(r) が以下で再帰的に定義されます.
- L(\Z)=\{0\} と,L(\I)=\{1\}.
- L(r+s)=L(r)\cup L(s),\,L(r\cdot s)=L(r)\cdot L(s),\,L(r^{\ast})=\{\varepsilon\}\cup L(r)\cup (L(r)\cdot L(r))\cup\cdots と,L(r^{\co})=\varOmega\setminus L(r) (ここで r と s は正規表現).
特に L(r^{\ast}) は L(r) の任意有限回の繰り返し,L(r^{\co}) は L(r) の補集合です.例えば \varOmega=L((\Z+\I)^{\ast}) です.
問題 1 正規表現 (\I^{\co}\cdot \I)^{\ast} を,スターが登場しない正規表現で書き直してください.
問題 2 正規表現 ((\Z+\I)\cdot \Z^{\ast}\cdot \I)^{\ast} を,スターの入れ子が登場しない正規表現で書き直してください.
例えば L(\Z^{\ast}+\Z^{\co})=L(\Z+\Z^{\co})\ (=\varOmega) なので,\Z^{\ast}+\Z^{\co} はスターを 1 回も使わない \Z+\Z^{\co} で書き直せています.また問題 2 のような書き直しの例としては,L((\Z+(\I\cdot(\Z+\I))^{\ast})^{\ast})=L(((\I^{\co}\cdot \I)^{\co})^{\ast}) があります.
出題:土岡俊介
応募規定[解答掲載2023年3月号]
郵送の場合
B5判の用紙をご使用のうえ,解答用紙 1 枚ごとにA:出題の番号(例:12月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記宛先までお送りください.
〒170-8474 東京都豊島区南大塚3-12-4
日本評論社 数学セミナー〈エレガントな解答をもとむ〉係
メール送信の場合
B5判のサイズで,解答用紙 1 枚ごとにA:出題の番号(例:12月号出題1),B:住所,氏名(ふりがなも明記,誌上での仮名を希望される方は,こちらに明記),年齢,職業を記入して,下記フォームから PDF ファイルを送信して下さい (ファイルサイズ10MBまで).
解答記載に LaTeX ご利用の方は,テンプレートもご活用下さい.テンプレート利用は任意です.またテンプレートの漢字コードはUTF8です.ファイルが文字化けするときは適宜変換してお使いください.
投稿フォームが上手く動かないなどの場合は,susemi_elegant@nippyo.co.jp に直接お送り下さい.
注意事項
- 締切:2022年12月8日
- 二題に応募されるときは,郵送の場合は解答用紙を,メール送信の場合はファイルを,出題ごとにかえてください.
- 年齢を忘れずにお書きください.
- 解答用紙は両面の使用を不可とします.
- 解答用紙はご返却できません.
- 問題のご感想も歓迎します.
- 出題掲載号:数学セミナー2022年12月号
- 解答・講評は,本誌2023年3月号にてご確認ください.
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