序文(特別企画:「助けて」が言えない 子ども編)(編:松本俊彦)
特別企画から(こころの科学)| 2022.10.17
心理臨床、精神医療、教育、福祉等の領域で対人援助にかかわる人、「こころ」に関心のある一般の人を読者対象とする学術教養誌「こころの科学」。毎号の特別企画では、科学的知見の単なる解説ではなく、臨床実践に基づいた具体的な記述を旨としています。そうした特別企画の一部をご紹介します。
(毎月中旬更新予定)
◆本記事は「こころの科学」226号(2022年11月号)の、松本俊彦編「特別企画:「助けて」が言えない 子ども編」に掲載されている序文です。◆
学校における自殺予防教育として、「SOSの出し方教育」なる標語が叫ばれるようになってはや数年が経過した。しかし、この標語が登場して以降、皮肉にも子どもの自殺のさらなる増加という現実に直面し、いまやその標語に空疎な響き、あたかも剥がし忘れた古い選挙ポスターにも似た侘しさを感じてしまうのは、編者だけではあるまい。