(第3回)通勤の経済学:大阪、梅田、細雪

歩いて学ぶ都市経済学(中島賢太郎・手島健介・山﨑潤一)| 2022.12.26
都心に高層オフィスビルが林立しているのはなぜ? 原宿にアパレルショップが集中しているのはなぜ? この連載では、日本各地の都市で見られる何気ない風景の「なぜ」を取り上げ、その背後にあると考えられる経済学的メカニズムを解説するとともに、そのメカニズムをデータを使って検証した最先端の実証研究を紹介していきます。

(毎月下旬更新予定)

はじめに

あなたは関西の郊外住宅地に住んでいる。オフィスは大阪にあり、通勤のため阪急電車に乗って大阪に向かう。電車に揺られしばらくすると、淀川を渡り終着駅である大阪梅田駅に着く。大阪梅田駅は巨大な駅で、合計 9 本の線路に次々と電車が到着する (図1)。阪急電鉄は大阪梅田に百貨店やホテルも構え、梅田は日本有数のビジネスとショッピングの一大集積地である。関東でも、新宿や渋谷、池袋や上野、また横浜や大宮などで見られる光景だろう。

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中島賢太郎 (なかじま・けんたろう)
一橋大学イノベーション研究センター准教授。東京大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士 (経済学)。東北大学大学院経済学研究科准教授などを経て、2017年より現職。都市経済学・空間経済学を専門とする。スマートフォンGPSデータや歴史的データなど、幅広いデータを用いた実証研究を行っている。
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手島健介 (てしま・けんすけ)
一橋大学経済研究所教授。コロンビア大学経済学部博士課程修了 (Ph.D.)。メキシコ自治工科大学経済研究所助教授などを経て、2022年より現職。主にメキシコと日本のミクロデータをもとに、グローバリゼーションおよび都市にまつわる諸問題を研究している。
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山﨑潤一 (やまさき・じゅんいち)
神戸大学大学院経済学研究科講師。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSE) 博士課程修了 (Ph.D.)。神戸大学大学院経済学研究科助教などを経て、2021 年より現職。開発経済学、応用ミクロ計量経済学を専門とする。明治期の鉄道や江戸期の農業投資など、日本の歴史的データを用いた実証研究を多く行っている。
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※本連載は、共同執筆です。著者順は慣例に従いアルファベット順としています。