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(第10回)太陽の極域磁場反転の教訓

地球惑星科学の地平を求めて(半揚稔雄)| 2023.02.16
お馴染だと思っているはずの地球や宇宙も,自然科学の目で見ると実に多様な顔を見せてくれます.この連載では,地球を中心とした様々な対象や現象について,最近の知見をもとに改めて解説します.

(毎月中旬更新予定)

第 9 回の図 5 上図に見られる 19965 月に始まり 200812 月に終わる 12.6 年間は,黒点数がそれまでとは比較的少なく静穏な期間であった.この一期間はサイクルと呼ばれ,1755 年に始まる一期間をサイクル 1 と表示すると,19965 月からの一期間はサイクル 23 となる.その後の 200812 月から始まり 201912 月に終わる 11 年間 — サイクル 24 — では, 201213 年にかけての極域磁場の反転で 4 重極になろうとする変化が見られた. 2022 年の時点で,太陽活動は 2008 年以前と変わらぬ状況へ戻りつつあるが,極域磁場はこれまでの 2 重極とは逆に北極が N 極に,南極が S 極へと変化している.

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半揚稔雄(はんようとしお) 1947 年,福岡県に生まれる.その後,北海道札幌市にて子供時代を過ごす.小学校 4 年の 10 月に,ソヴィエト連邦 (現在のロシア) が「世界初の人工衛星スプートニク 1 号を打ち上げた」とのニュースに接して,宇宙に興味を覚える.以来,宇宙飛行に関心を寄せ,物理学で理学士となるも,これが高じて防衛大学校,東京大学宇宙航空研究所(現・JAXA宇宙科学研究所)などで一貫して宇宙飛翔力学の研究に携わる.この間に,東京大学から工学博士の学位を授かる.現在,成蹊大学非常勤講師.

著書:『ミッション解析と軌道設計の基礎』(現代数学社,2014 年),『惑星探査機の軌道計算入門 ―― 宇宙飛翔力学への誘い』(日本評論社,2017 年),『入門連続体の力学』(同,2017 年) ,『つかえる特殊関数入門』(同,2018 年) など.