「お金」はつくれるか?—ステーブルコインのお金らしさを測定する

海外論文サーベイ(経済セミナー)| 2023.01.30
 雑誌『経済セミナー』の "海外論文Survey" からの転載です.

(奇数月下旬更新予定)

Gorton, G. B., Ross, C. P. and Ross, S. Y.(2022) “Making Money,” NBER Working Paper, No.29710.

$\def\t#1{\text{#1}}\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}\def\bi#1{\boldsymbol{#1}}$

小栗洵子

はじめに

Everyone can create money; the problem is to get it accepted.

誰でもお金をつくることができる。問題はそれが通用するかどうかだ。(Minsky, 1986)

2022 年 5 月、暗号資産1)の一種である Terra が暴落した。Terra は暗号資産の中でも、価値が法定通貨にペッグされ、1 米ドルに連動するとされている「ステーブル (安全な) コイン」に分類される暗号資産であった。このため、Terra の価格暴落はステーブルコインがその名に反して安全ではない可能性をわれわれに突きつけ、話題となった。

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。→ . 会員登録(無料)はお済みですか? 会員について

脚注   [ + ]

1. クリプトカレンシー、仮想通貨、デジタル通貨等さまざまな名称が用いられているが、本稿では暗号資産と表記する。