(第12回・終)科学論文をどう捉えるべきか:個々の研究結果は暫定的なもの、再現性の確認を必要とする
コロナと数字と科学:ニュースに右往左往しないためのリテラシ(麻生一枝)| 2023.03.17

(毎月中旬更新予定)
科学論文。この言葉に、あなたはどんなイメージをもっているだろうか。しばし時間を取って、自分が「科学論文」という言葉を、どのように捉えているかを考えてみてほしい。
さて、どうだろう。専門の教育と訓練を受け研究を続けてきた学者が、その結果を報告しているのだから、何かとてもむずかしいもの。新しい科学的事実、発見。こんなところだろうか。
おそらく「科学論文」という言葉ほど、一般の人々と研究者との間で、その解釈が異なる言葉も少ないだろう。一般の人々は、論文の報告内容を事実に近いもの、本当のもの、と捉える。一方、研究者の捉え方はまったく違う。研究者にとっては、新しい論文は、その内容の真偽をこれから検証すべき対象だ。
