(第4回)エネルギーのロシア依存が低い英国の複合危機(伊藤さゆり)
ヨーロッパの直面するエネルギー危機| 2023.03.13
2022 年 2 月、ロシアがウクライナに侵攻したことにより、世界的にエネルギー価格が上昇する事態となりましたが、その中でも最も深刻な影響を受けているのがヨーロッパです。エネルギー危機に直面し大混乱に陥っているヨーロッパは、今後も脱炭素化・EV化を進めていくことができるのでしょうか。また深刻なインフレや財政・金融の問題にも注目が集まります。4名の EU 研究者が読み解いていきます。
(全 10 回の予定)
$\def\COii{\text{CO}_2}$
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻に、西側はロシアへの経済制裁とウクライナ支援で立ち向かうことを選択した。西側は石炭、石油を制裁対象とし、一方、ロシアは西側、とりわけロシアにエネルギーを依存してきた欧州諸国への対抗措置としてパイプライン・ガスの供給を大幅に削減した。
英国は、20 年 1 月に欧州連合 (EU) を離脱したが、主要 7 カ国 (G7)、西側の一角として、対ロシア制裁、ウクライナ支援で EU と同じ方向を向いてきた。
伊藤さゆり (株)ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行(現みずほフィナンシャル・グループ)を経てニッセイ基礎研究所入社。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了。早稲田大学商学学術院非常勤講師、21世紀政策研究所研究委員兼務。日本EU学会理事。近書に『英国のEU離脱とEUの未来』(共著、日本評論社)、『沈まぬユーロ---多極化時代における20年目の挑戦』(共著、文眞堂)。