(第5回)機能は貝のようになったとしても

プロ精神科医あるあるノート(兼本浩祐)| 2024.06.13
外来のバックヤード、あるいは飲み会などフォーマルでない場で、臨床のできる精神科医と話していると、ある共通した認識を備えていると感じることがあります。こうした「プロの精神科医」ならではの「あるある」、言い換えれば教科書には載らないような暗黙知(あるいは逆に認識フレームの罠という場合もあるかもしれません)を臨床風景からあぶり出し、スケッチしていくつもりです。

(毎月中旬更新予定)

赤ん坊は人か動物かをめぐる議論

どうして赤ん坊を私たちは人と認めることができるのでしょうか。テレビなどで新生児の誕生を寿ぐ番組を見ていると、赤ん坊こそ一番純粋な人間らしい人間ではないかと即座に反論を受けそうです。しかし、歴史的あるいは地域的に、赤ん坊が一貫して成人と同じ人間であると認められてきたわけではありません。もう少し遡って胎児はどうなのかを考えてみるとすぐにわかります。

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兼本浩祐(かねもと・こうすけ)
中部PNESリサーチセンター所長。愛知医科大学精神神経科前教授。京都大学医学部卒業。専門は精神病理学、臨床てんかん学。『てんかん学ハンドブック』第4版、『精神科医はそのときどう考えるか』(共に医学書院)、『普通という異常』(講談社現代新書)など著書多数。