(第11回)コウモリ(前編)――傷害
ただいま調査中! 家庭裁判所事件案内(高島聡子)| 2024.08.06

普段は手続非公開のベールに隠れている“中の人”が、リアルな現場の点景をお伝えします。
(事件はすべて、家裁に係属する事件の特徴を踏まえて創作した架空のものです)
(毎月上旬更新予定)
夜行性の少年たち
事件は週末、深夜の私鉄駅前で起きた。少年二人が通りがかった被害者に因縁を付けた末、「タイマンか金か選べ」と言って相手から先に殴らせた後、二人がかりで相手を殴って全治三週間(全身打撲)の傷害を負わせたという事案だ。
少年らは16歳、被害者は18歳の大学生で、少年らと被害者の間に面識はない。

神戸家庭裁判所姫路支部総括主任家庭裁判所調査官。
1969年生まれ。大阪大学法学部法学科卒業。名古屋家裁、福岡家裁小倉支部、大阪家裁、東京家裁、神戸家裁伊丹支部、京都家裁、広島家裁などの勤務を経て2023年から現職。現在は少年、家事事件双方を兼務で担当。
訳書に『だいじょうぶ! 親の離婚』(共訳、日本評論社、2015年)がある。