(第11回)小さなこころは大きくできない

プロ精神科医あるあるノート(兼本浩祐)| 2024.12.13
外来のバックヤード、あるいは飲み会などフォーマルでない場で、臨床のできる精神科医と話していると、ある共通した認識を備えていると感じることがあります。こうした「プロの精神科医」ならではの「あるある」、言い換えれば教科書には載らないような暗黙知(あるいは逆に認識フレームの罠という場合もあるかもしれません)を臨床風景からあぶり出し、スケッチしていくつもりです。

(毎月中旬更新予定)

テレビドラマを見ていたら、初老の男性上司の何がしかの発言に対して、20代の部下の女性が「小さ!」とその器の小ささを小声で吐き捨てる場面がありました。近ごろ、もう老い先も短いんだからとサンタンドレという高価なチーズを毎朝気に入って食べているのですが、娘がたまたま料理を作ってくれているときに、「これ使っていい?」と言ったので、「だめだめだめ」とパニックになって大声を出してしまったときがあって、家内に「小さ!」と言われてしまったのを思い出しました。

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兼本浩祐(かねもと・こうすけ)
中部PNESリサーチセンター所長。愛知医科大学精神神経科前教授。京都大学医学部卒業。専門は精神病理学、臨床てんかん学。『てんかん学ハンドブック』第4版、『精神科医はそのときどう考えるか』(共に医学書院)、『普通という異常』(講談社現代新書)など著書多数。