(第18回)日本の生殖補助医療:法的規制の不在と医師による自主規制の限界
ヒトの性の生物学(麻生一枝)| 2025.02.19

このシリーズでは,私たちの人生に密接に関係する「ヒトの性に関する生物学的知見」を紹介していきます.
(毎月中旬更新予定)
生物学の範囲を超えるので、今回 (と次回) のテーマについて書くか書くまいか、かなり迷った。しかし、生殖補助医療分野の技術の進歩に、法的な規制がまったく追いついていないのが日本の現状である。国による規制のない中、民間不妊治療クリニック有志が団体を作り独自のガイドラインの下に治療を行っている例もあるし、卵子提供を仲介する NPO も登場している。SNS 上での精子取引も、海外での卵子提供や代理出産を仲介する業者のネット広告も、大手を振って歩いている。最終的に「やはり書かねば」という結論に至った。
