鼎談:経済学への疑問,批判,そして期待(経済セミナー2018年10・11月号)
特集から(経済セミナー)| 2018.09.26
現実社会と経済学の世界は、密接につながっているようでいながら、十分に対話が行われているわけではないという現実がある。経済学の在り方について、社会科学方法論の立場から経済学を批判的に見る有江氏と、ビジネスの現場を経た立場から経済学の現状に疑問をもつ横山氏にお越しいただき、経済学史が専門である野原氏をコーディネーターとしてお話いただいた。
1 経済学との出会い
野原 本日は鼎談においでいただきありがとうございます。まず企画趣旨から説明させていただきます。経済学は今日、現実のビジネスの世界あるいは政策決定の世界などさまざまな場面で使われています。例えばゲーム理論を取り上げますと、オークションを始めいろいろな分野の制度設計、企業の戦略決定、経済政策の決定などで役に立っています。あるいは金融政策の決定、金融制度の構築といったものにも経済学の知見は生かされています。