(第3回)曲線は折れ線である
数学の泉(高瀬正仁)| 2018.12.03
数学に泉あり。数学は大小無数の流れで構成されていて、今も絶え間なく流れ続けている雄大な学問ですが、どの流れにも源泉があり、しかもその源泉を作った特定の人物が存在します。共感と共鳴。数学の泉の創造者たちの心情と心を通わせることこそが、数学を理解するという不思議な体験の本質です。そこで数々の泉を歴訪して創造の現場に立ち会って、創造者の苦心を回想し、共感し、共鳴する糸口を目の当たりにすることをめざしたいと思います。
(毎月上旬更新予定)
$\def\dfrac#1#2{\displaystyle\frac{#1}{#2}}$
今日の微積分の源流をたどると,17 世紀の後半期に相次いで出現したライプニッツの 2 論文に出会います.第 1 論文の表題は,
「分数量にも無理量にもさまたげられることのない極大・極小ならびに接線を求めるための新しい方法.およびそれらのための特異な計算法」(以下,「ライプニッツ 1684」と略称)
というもので, “Acta eruditorum” (アクタ・エルディトールム)の 1684 年 10 月号に掲載されました.『アクタ・エルディトールム』はドイツの最初の学術誌で,1682 年にオットー・メンケがライプチヒで創刊しました.創刊にあたってライプニッツも協力しています.多方面にわたって学者の活動を報告するという主旨の雑誌ですが,明治期の日本の学術誌に『学術論叢』という訳語があてられているのを見たことがあります.