(第7回)遺体を解剖した医師の証言
渋谷重蔵は冤罪か?―19世紀、アメリカで電気椅子にかけられた日本人(村井敏邦)| 2019.03.28
日本開国から24年、明治の華やかな文明開化の裏側で、電気椅子の露と消えた男がいた。それはどんな事件だったのか。「ジュージロ」の法廷での主張は。当時の日本政府の対応は。ニューヨーク州公文書館に残る裁判資料を読み解きながら、かの地で電気椅子で処刑された日本人「渋谷重蔵」の事件と裁判がいま明らかになる。
(毎月下旬更新予定)
コートランダー巡査に続いての検察側証人は、遺体を解剖した医師アルバート・ウィストン(Albert T. Wiston)だ。ウィストン医師は、ニューヨーク郡の副死因監察官(ディピュティ・コロナ―)の一人でもあった。
ウィストン医師は、警察官からの連絡を受けて、11月10日の日曜日、昼の12時ころ現場に到着した。現場のアパート1階の玄関の間にはいったところで、その部屋のテーブルの上に死体があるのを見た。