(第11回)目撃者に仕立てた証人が偽証を告白して自首したのに不起訴処分―徳島ラジオ商殺し事件(2)
捜査官! その行為は違法です。(木谷明)| 2019.07.10
なぜ誤った裁判はなくならないのか――。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
警察官、検察官の証拠隠しや捏造、嘘によって、そしてそれを見抜かなかった裁判所によって、無実の人が処罰されてしまった数々の冤罪事件が存在します。
現役時代、30件以上の無罪判決を確定させた元刑事裁判官・木谷明氏が、実際に起こった事件から、刑事裁判の闇を炙り出します。
(毎月中旬更新予定)
徳島ラジオ商殺し事件(2)
- 徳島地決昭和55年12月3日判時990号20頁
- 徳島地決昭和45年7月20日判時607号29頁
前回紹介したラジオ商殺し事件を、主として再審段階における手続面に焦点を当てて説明する。審理状況を手続面から見ると、検察の独断専行・横暴ぶりと、法律によって与えられていた権限の大きさを、改めて思い知らされる。
1 再審請求に至る経過
有罪判決確定後、S子さんは、模範囚として刑を務める一方、再審請求に執念を燃やした。そして、弁護人の努力によって、以下のとおり、種々有利な状況がもたらされた。しかし、検察官はあらゆる方法で再審を妨害し、その結果、第4次までの再審請求はいずれも棄却された。