検察の「証拠開示拒否」は違法:布川事件、東京地裁が国と茨城県に賠償命令
ロー・フォーラム 裁判と争点(法学セミナー)| 2019.07.19
毎月、全国の裁判所で数多くの判決や決定が下される中から、私たちの社会に問題を提起する判決、法律学上の議論に影響を及ぼす判決など、注目の裁判を毎月ひとつずつ紹介します。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
(毎月中旬更新予定)
◆この記事は「法学セミナー」775号(2019年8月号)に掲載されているものです。◆
1967年に茨城県利根町布川で男性が殺害された「布川事件」で無期懲役の有罪が確定し、2011年に再審無罪となった桜井昌司さん(72)が国と茨城県に賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(市原義孝裁判長)は5月27日、国と県に約7600万円の支払いを命じた。
判決は、茨城県警の違法捜査だけでなく、検察が元々の刑事裁判で桜井さんに有利な証拠を開示しなかったと指摘し、検察の公判対応の違法性も認定した。再審無罪となった刑事事件をめぐる訴訟で、国に賠償が命じられるのは極めて異例だ。