旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に一時金を支給:旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の成立
ロー・フォーラム 立法の話題(法学セミナー)| 2019.07.19
国会で成立する法律は数多くに及びますが、私たちの社会の制度変更に影響の大きい立法、私たちの生活に影響の及ぼすような立法など、注目の立法を毎月ひとつずつ紹介します。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
月刊「法学セミナー」より、毎月掲載。
(毎月中旬更新予定)
◆この記事は「法学セミナー」775号(2019年8月号)に掲載されているものです。◆
■法案の提出・成立
1948年に制定された優生保護法では、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的として、遺伝性精神病等にかかっている者に対し、本人の同意がなくとも、その疾患の遺伝を防止するため優生手術(生殖腺を除去せずに、生殖を不能にする一定の手術)を行うこととしていた。
優生保護法は、1996年に、不良な子孫の出生の防止という優生思想に基づく部分が障害者に対する差別であるとして、母体保護法に改正され、本人の同意によらない手術についての規定が削除された。
これまでの間、多くの方々が優生手術等を受けることを強いられてきたことから、本年の通常国会で、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」が衆議院の議員立法として提出され、本年4月、成立した。